Stuart RussellとPeter Norvigによって書かれたArtificial Intelligence: A Modern Approachは、人工知能研究のもっとも標準的な教科書です。2021年に出版された第4版では、深層学習をはじめとする近年の人工知能研究の進展をふまえて、内容がアップデートされています。この本は、人工知能研究に関する包括的な教科書であるだけでなく、各手法の背景にある考え方や各手法の長所・短所を明らかにしてくれるという点でも優れた教科書なのですが、残念ながら邦訳があるのは2003年刊の第2版までで、それも現在は品切れです。
われわれの研究プロジェクトでは、人工知能研究の現状に関する理解を深めるために、この教科書の読書会を行っています。せっかく時間をかけて要約を作成したということもあるので、第4版の邦訳が出版されるまでの何かの参考になればよいと考え、原著者の了解を得て、要約を公開することにしました。公開を快く許可してくださった原著者に感謝いたします。
原著は1000ページを超える分厚い本で、(とくに人工知能の専門家以外には)いきなり読むにはハードルが高いものです。要約を作成する際にもさまざまな関連文献を参照しましたので、それについても以下で紹介します。(文系の)非専門家がAIMAの内容をある程度きちんと理解しようとしたときに役に立つ、という基準で紹介しています。書名をクリックすると、Amazon.co.jpの書籍ページに移動します。
なお、要約作成者(鈴木貴之)の専門は哲学で、人工知能研究ではないので、要約には内容の誤りや標準的でない訳語選択が含まれている可能性もあります。誤りなどを発見した際には、tkykszk at g dot ecc dot u-tokyo dot ac dot jp までお知らせいただければ幸いです。
*原著者によるAIMAウェブサイトはこちらです。
*原著第4版はAmazon.co.jpで購入できます。(リンク先はペーパーバック版のあるGlobal Editionですが、この要約にはUS Editionを用いています。両者は後半の章番号がずれているのでご注意ください。)
各章の要約(順次追加していきます)
第12章 不確実性を数量化する(ベイズネット)
第12章の要約(PDFファイル)
第13章 確率的推論(ベイズネットを用いた推論)
第13章の要約(PDFファイル)
第13章の参考文献:
マルコフ連鎖モンテカルロなどのサンプリング手法は、この本でもさまざまな場所で登場します。以下の本に比較的わかりやすい説明があります。
久保拓弥『データ解析のための統計モデリング入門ー一般化線型モデル・階層ベイズモデル・MCMC』岩波書店、2012年
浜田宏・石田淳・清水裕士『社会科学のためのベイズ統計モデリング』朝倉書店、2019年
手塚太郎『しくみがわかるベイズ統計と機械学習』朝倉書店、2019年
花田政範・松浦壮『ゼロからできるMCMC』講談社、2020年
第19章 事例からの学習(機械学習)
第19章の要約(PDFファイル)
第19章の参考文献:
柴原一友ほか『機械学習教本』森北出版、2019年
ニューラルネット以外の手法も多く説明されています。数式がほとんど出てこないので、直観的な理解に有用です。
C. M. ビショップ『パターン認識と機械学習(上)』丸善出版、2012年
C. M. ビショップ『パターン認識と機械学習(下)』丸善出版、2012年
Trevor Hastieほか『統計的学習の基礎』共立出版、2014年
この章も含めて、機械学習関連の多くの教科書はこれらの本を参考にして書かれていると思われるので、本格的に勉強するならばこれらを読むのがよいでしょう。ただし、大学レベルの数学(微分積分、線形代数など)の知識がないと内容をきちんと理解できません。3冊目に関しては、同じグループによるつぎの本の方がわかりやすいです。
Gareth Jamesほか『Rによる統計的学習入門』朝倉書店、2018年
第20章 確率的モデルの学習
第20章の要約(PDFファイル)
最終更新:2022年1月25日